幌(ホロ)取っ手製作 前編【リバースエンジニアリング】

愛知県豊川市でオーダー部品製作をやっています、
インダストリーラブです。

今週もお疲れ様です。
だいぶ気温も下がってきましたね。
体調管理よろしくお願いします。

さて今週は幌(ホロ)取っ手製作についてです。
インターネットからお問合せいただいた案件です。
今回はどんな流れで進んでいったのか書いてみたいと思います。

幌(ホロ)取っ手 対称形状の製作依頼


詳細はお聞きしていないのですが年代物のトラックか何かの
の幌(ホロ)開閉部の取っ手だと思われます。
ちなみに「幌」という漢字を初めて知りました。
それだけでもありがたい。

これの片側が破損してしまったのだと思います。
反対側の部品を見て対称部品を作ってほしいというお話でした。

幌取っ手(現品)

金属の板金ものは比較的得意な分野です。
(「板金もの」とは規格の板厚の鉄板を曲げて製作する部品)
ありがたくお受けさせていただきました。

ちなみに板金でも3次元的に湾曲しているとかなり難しい物件になってきます。

お話の中で類似のオネジの部分がメネジになっている部品があるので
それにねじだけ取付けて代用できないかというお話も出てきました。

メネジ取っ手

お写真をみてこれも可能だと判断したので、
メネジ取っ手にネジを追加する改造で進めさせていただくことになりました。

部品到着から採寸


さてお話が決まりまして部品を送ってただきました。

インダストリーラブは愛知県でやっているのですが、
なんと九州の方からお話をいただきまして遠方から部品が届きました。
これだけでもありがたく思ってしまいます。

ここからは僕の腕も見せどころでして、
部品を計測して形状を書いてきます。

採寸イメージ

2面幅のご提案


そしてここでインダストリーラブからのご提案。
まずはメネジ取っ手の改造について。

2面幅の説明

こんな感じでネジの先端に段形状を付けたいと相談します。
これは専門的には「2面幅」と言います。
なぜこれを付けるかというとスパナを引っ掛けたりペンチで挟んだりして、
ねじを締め付ける際に使うものです。
これがないと最後まで締め付けることが難しく、
ネジ部を工具で挟んでしまうとネジ山が潰れてしまうからです。

お客様からこんな質問が、
「2面幅を付けてナットはちゃんと付くのでしょうか?」
結論から申しますと「ちゃんと付きます」。

これをお聞きしたときにハッとしました。
機械の現場では当たり前のことで当然のように思っていたけど、
専門外の方は知らないこともたくさんあって、
そのあたりの丁寧な説明ができていなかったと反省した次第です。

これからも極力丁寧にご説明していきますが、
もし分からないことがあったらお気軽に聞いて下さい。

3Dイメージの提出

と少し話が横道にそれましたが、
2面幅の件に関してはOKをいただけたので3Dデータのイメージを製作してお客様にお見せしました。

3Dイメージ

機械の現場にいる方は図面をみますが、
一般の方が図面を見るのはかなり難しいので、
インダストリーラブではこういった3Dイメージをお客様にお渡しするようにしています。

これを見てお客様の納得していただけました。
そして見積をお出しして実製作となっていきます。

書きたいことがたくさんあるので、実製作の方は後半の方で書いて、
別で製作事例ブログみたいなものを書こうかなと思っています。

リバースエンジニアリングのむずかしさ


既存の部品から形状を読み取り再制作や次の設計に役立てることを、
リバースエンジニアリングと言います。

機械の現場でももっと複雑な部品はたくさんあり、
慣れてくると一見簡単そうに見えるこの取っ手部品ですが、
制作側に渡すまでにはいろいろ悩みがあります。

今回で悩んだのはフック形状の小判型の穴。

小判穴

旧部品のはこの穴が使い込みでかなり変形してしまい素直に形状を読み取れないので、
相手部品との兼ね合いをみて決めていきます。
あまりグラつくと嫌なので0.1mm程度まで狙って寸法を決めていきます。

あとは取っ手改造のネジの長さですね。
今回は通常のねじのような頭の部分がほぼないので、
細い方のねじがタップ穴の底に付くように決めています。
それを狙うのに悩みました。

ネジの頭

と少量の部品でも考えることはたくさんあります。
この辺りはある程度経験を積んで行かないとすぐにできるようにならないとは思います。

得意なことは図面化


それで今回お客さまが九州の方で
九州の加工屋さんに何件か製作できないか聞いたらしいのですが、
「図面がないと作ることはできない」という回答だったそうです。
インダストリーラブは最後の手段だったとお聞きしました。笑

確かに断りたくなるのも分からなくもないんです。
どうしてかというと、
古い部品と寸分違わず同じものを作るというのは絶対に不可能だからです。
同じように作っても多少のズレは絶対に出てしまいます。
そのさいに使いものにならなくても保証は出来ない。
本当にそうだと思います。だから作りたくない。分かります。

でもそれって量産品でも同じなんですよ。
正確に見れば一個として全く同じ部品は無いんです。
ではどうするか?

機能を考え本当に必要な部分はどこなのか考えて、
この範囲からこの範囲までの間で作ってくれれば問題ないですよ。
と条件を付けてやるんです。それが図面なんです。
図面は形を指示するだけではなく、許容範囲も指示しているんです。

図面イメージ

だからこそ設計屋さんは責任重大。
でもその責任を設計屋さんが負っているから部品は作れるんです。
とかっこよくまとめちゃいましたが、
インダストリーラブはもっとも得意なことは図面化です。

実はいつも責任を負った結果のミスがあると怖いのでドキドキしています。

【ちなみに気になるお値段は】
ねじ部品、フック部品と図面手数料で3万後半くらいでした。
インダストリーラブに何かご相談がありそうな方は、
ご参考になさってください。

さて後半ブログ楽しみにしてくださるとうれしいな。

今日もご一読ありがとうございました。


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